新判例Quiz(23) ひさびさ・・・
<民法> 重要度 B
<問> 民法1041条1項に関する次の記述は正しいか。
民法1041条1項
「受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。」ア 遺留分権利者が受贈者又は受遺者に対し民法1041条1項の価額弁償を請求する訴訟における贈与又は遺贈の目的物の価額算定の基準時は、右訴訟の事実審口頭弁論終結の時である。
イ 遺留分減殺請求を受けた受遺者が民法1041条1項の規定により遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をし,これを受けた遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合,受遺者は,事実審の口頭弁論終結時からの遅延損害金を支払わなければならない。
判例(最判平20.1.24裁判所HP)は,
(1)目的物返還請求権と価額弁償請求権の関係(価額弁償の履行の提供がある場合)
「受遺者が遺留分権利者から遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求を受け,遺贈の目的の価額について履行の提供をした場合には,当該受遺者は目的物の返還義務を免れ,他方,当該遺留分権利者は,受遺者に対し,弁償すべき価額に相当する金銭の支払を求める権利を取得すると解される(前掲最高裁昭和54年7月10日第三小法廷判決,前掲最高裁平成9年2月25日第三小法廷判決参照)。」
(2)目的物返還請求権と価額弁償請求権(価額弁償の履行の提供がなされていない場合)
「また,上記受遺者が遺贈の目的の価額について履行の提供をしていない場合であっても,遺留分権利者に対して遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をしたときには,遺留分権利者は,受遺者に対し,遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求権を行使することもできるし,それに代わる価額弁償請求権を行使することもできると解される(最高裁昭和50年(オ)第920号同51年8月30日第二小法廷判決・民集30巻7号768頁,前掲最高裁平成9年2月25日第三小法廷判決参照)。」
(3)価額弁償の履行の提供がなされる前に、遺留分権利者が価額弁償請求権を行使した場合の権利関係
「上記遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合には,当該遺留分権利者は,遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い,これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得すると解するのが相当である。」
(4)価額弁償債務が遅滞に陥る時期
「受遺者は,遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした時点で,遺留分権利者に対し,適正な遺贈の目的の価額を弁償すべき義務を負うというべきであり,同価額が最終的には裁判所によって事実審口頭弁論終結時を基準として定められることになっても(前掲最高裁昭和51年8月30日第二小法廷判決参照),同義務の発生時点が事実審口頭弁論終結時となるものではない。そうすると,民法1041条1項に基づく価額弁償請求に係る遅延損害金の起算日は,上記のとおり遺留分権利者が価額弁償請求権を確定的に取得し,かつ,受遺者に対し弁償金の支払を請求した日の翌日ということになる。」
*最判昭51.8.30
「民法一〇四一条一項が、目的物の価額を弁償することによつて目的物返還義務を免れうるとして、目的物を返還するか、価額を弁償するかを義務者である受贈者又は受遺者の決するところに委ねたのは、価額の弁償を認めても遺留分権利者の生活保障上支障をきたすことにはならず、一方これを認めることによつて、被相続人の意思を尊重しつつ、すでに目的物の上に利害関係を生じた受贈者又は受遺者と遺留分権利者との利益の調和をもはかることができるとの理由に基づくものと解されるが、それ以上に、受贈者又は受遺者に経済的な利益を与えることを目的とするものと解すべき理由はないから、遺留分権利者の叙上の地位を考慮するときは、価額弁償は目的物の返還に代わるものとしてこれと等価であるべきことが当然に前提とされているものと解されるのである。このようなところからすると、価額弁償における価額算定の基準時は、現実に弁償がされる時であり、遺留分権利者において当該価額弁償を請求する訴訟にあつては現実に弁償がされる時に最も接着した時点としての事実審口頭弁論終結の時であると解するのが相当である。」
としています。
この判例は、1041条のところだけでなく、412条(履行遅滞)のところでも出題され得る。遅滞に陥る時期に関する他の判例とあわせて押さえておいたほうが良い。
<答> ア 正しい イ 誤り
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